リスクマネジメントの知識


リスクマネジメントのすすめ

わたしたちはリスクとともに暮らしています。
病気やケガ、事故、自然災害、仕事に関連する損害賠償など、わたしたちの周囲にはいろいろな危険が潜んでいます。
また、リスクの影響もさまざまで、自然災害のように発生頻度は少ないが、甚大な損害をもたらすものから、日常生活においてひやりしたこと、はっとしたこと(ヒヤリ・ハット)など影響は小さいが、比較的発生頻度が多いものまであります。
しかし、リスクをおそれてばかりでは生活は送れません。
交通事故をおそれて外出しなければ不便な生活をしいられ、ビジネスにおいてもリスクをおそれて何もしなければビジネスチャンスは失われます。
利便性や利益と損失を天秤にかけて計測して、行動を決めなければいけません。
これがリスクマネジメントです。
リスクを正確に把握して、それを分析、評価してその結果をもとに対策を検討して実行するということです。
現代の生活にリスクマネジメントは不可欠です。
いっしょにリスクマネジメントについて考えてみませんか。

リスクマネジメント入門

リスクとは

国際標準化機構(ISO)では、リスクを「目的に対する不確かさの影響」(ISO 31000)と定義しています。
私たちは何か目的をもって行動しています。
しかし、その結果を事前に予想することは極めて難しく、やってみなければわからないという不確実性が存在し、目的に対してさまざまな要素が影響しています。

目的地への移動を例に考えてみたいと思います。
この事例の目的は「目的地に予定どおり到着する」ことです。
移動手段には電車やバス、飛行機などの公共交通機関、レンタカーや自家用車などが考えられます。
どの手段をとっても確実に目的地に予定どおり到着できるという保証はありません。
そこには不確実性が存在します。
目的に影響する要素には、本人の健康状態、事故や渋滞の発生状況、天候などがあります。
本人の健康状態もすこぶるよく、事故や渋滞の発生もなく、公共交通機関も定刻どおり運行されていれば、目的地に予定どおり到着できる確率は高まります。
一方、鉄道以外の交通手段では、天候、事故や渋滞の発生状況によって予定より早く到着したり、遅れて到着したりします。
天候、事故や渋滞の発生状況という要素が移動時間にプラス面、マイナス面で影響します。
このような「目的に対する不確かさの影響」をリスクと呼んでいます。

リスクマネジメントとは

国際標準化機構(ISO)では、リスクマネジメントを「リスクについて組織を指揮統制するための調整された活動」(ISO 31000)と定義しています。

先ほどの事例を引き続き考えてみたいと思います。
移動手段として一番確実と考えられるのは鉄道です。
鉄道には、専用の車両が専用の路線を決められた速度で走行できるというメリットがあります。
さらに、これらの条件は交通管制というコントロールのもとで管理されています。
また、天候については天気予報をこまめにチェックすることで天候を予測することが可能です。
悪天候が予想されれば前日に宿泊したり、日程そのものを延期したりするという措置が講じられます。
なお、自ら自動車を運転する場合には、運転技術、自動車保険の契約状況など新たな要素が発生します。

これらはすべてリスクマネジメントそのものです。
自動車保険は事故の損失を補うという点で「リスクの移転(転嫁)」に該当し、自ら自動車を運転するという行為は自らリスクを背負うという点で「リスクの保有」に該当します。
また、安全運転などはリスクの影響を低減させるという点で「リスクの低減(軽減)」に該当し、前日の移動、日程の変更はリスクそのものを避けるという点で「リスクの回避」に該当します。
このようにリスクの処理手段には「リスクの低減(軽減)」「リスクの回避」「リスクの移転(転嫁)」「リスクの保有」があります。
なお、ここでは個人の行動を事例に解説しましたが、「目的地に予定どおり到着する」という目的を、複数のメンバーがリーダーの統制のもとに役割を分担して組織的に行動すれば、ISO 31000で定義するリスクマネジメントの活動になります。
鉄道の運行管理はこれに該当します。